アメリカンな一日!USSエモンズ沈船ダイビング。
ハイタイ、山崎です。
今日はなんとも変わった一日でした。
渡部・山崎チームは早起きして一路、北部へ。
大宜味村の塩屋漁港から、珍しくアメリカ人船長Chuckさんのボートで、USSエモンズでの沈船ダイビングへ出発です!
エモンズへは、今年の春に武富がスペシャルツアーでも行っていますが、もう一度ご紹介(スペシャルツアーの模様はこちら)。
USSエモンズとは、第二次世界大戦中に沈んだ戦艦で、リクリエーショナルダイビングで潜ることのできる限界ギリギリの40mに眠っています。姉妹艇であるUSSロッドマンが神風特攻隊の攻撃を受けていたのを援護する中、自らも5機の神風の攻撃を受けました。1945年4月7日、大きな痛手を受けたエモンズは、中に残っていた負傷者米軍60名と5名の日本軍を載せたまま、米軍自らの手によって古宇利島沖に沈められたのです。
左上は、沖縄戦の米軍側の遺族の会の依頼を受けて水中写真という手段で記録を残しているJimさんによるものです。
全長が90mと長いエモンズ。この写真は深度20mぐらいから、何枚も写真を撮ったものをつなげて全体図を作ったものです。一番左のほう、エモンズの船体に大きな穴が開いているのがわかるでしょうか?これが5機目の神風による攻撃のあとだということです。
この写真と、遺族や生き残ったエモンズ船員の証言をもとに作ったレイアウト図を見ながら、Chuck船長によるブリーフィングを受けました。さてさて、元気なアメリカ人船長や、アメリカ人水中写真家やビデオグラファーに囲まれ、一日の始まりです。英語が飛び交い、みな、「海外に潜りにきたみたい!?」と、いつもと違った雰囲気です。
エモンズは、沖合いでのダイビングなので、海況をかなり選びます。朝の渡部氏の心配をよそに、出航してみたら、ベタ凪。鏡のような水面です。英語でいうと、「It’s gorgeous!」とか「Beautiful!」なんていう海況です。流れもあまりなく、透明度も最高!
潜降ロープづたいに潜っていくと、エモンズの船体が見えてくると同時にツバメウオの群れが私達ダイバーを出迎えてくれます。あっという間に30m越えの深さ。無限圧限界の範囲内で潜るため、ダイブコンピューターの指示とにらめっこしながら慎重に潜ります。透明度がとってもよいので、20mぐらいの深さからでもかなり船体が見渡せ、その大きさに圧倒されます。
ダイバーと比べると、その船体がいかに大きいかわかるかと思います。深いし、1本でじっくり見られる範囲は限られます。上の写真右は、魚雷を引っ掛けて浮き上がらせ、破壊するための装置の一部。下の写真(左)はプロペラ。その羽の一つ一つが、ダイバー一人よりも大きいぐらい。普段見慣れているボートのプロペラとはスケールが違います。なにせ、「戦艦」ですからね!
☆☆ USSエモンズ・ダイビング 豆知識 ☆☆
上の写真(右)は、安全停止用のバー。Chuck船長の船には、エモンズという特殊な環境でディープ・ダイビングをするダイバーをサポートするための設備がたくさん備わっています。
これはその一つで、船上から深度5mのところにバーを降ろしてあります。安全停止中には、潜降ロープだけでなく、このバーを使うこともできます。時に流れが強くなる場所ならではですね。
さらに、バーの右端にあるホースから三つレギュレーターが出ているのが分かるでしょうか?これは、船上に36%のナイトロックス(エンリッチドエアー)のタンクが設置されていて、そこから長いホースが海中に下ろされ、その先にセカンドステージが三つ枝分かれしているのです。あくまで「緊急時用」ですが、3人のダイバーまで、万が一自分のタンクのエアーが少なくなった時点でも、安全停止を省略することなくダイビングを安全に終えることができるのです。船には、さらに緊急用の酸素タンクが3本も搭載されています。Chuck船長は自分自身もテクニカル・ダイビングを教えるインストラクター。頼もしいですね。日本語はあんまりできなくて、頑張ってしゃべると「うちの子供たちはウーマク(やんちゃ)だ~」とか沖縄方言が出てくる不思議な感じでしたが!
今日は、古宇利島に寄って長めのランチタイム(兼水面休息時間)をとり、午前1本・午後1本の合計2本。
通常私達がダイビングのときに用意するお茶に加えて、Chuck船長は大きなクーラーボックス二つに、レモネード、コーラ、果汁フレーバーつきのミネラルウォーター、果物ジュースなどたくさんの飲み物を用意してくれていました。それにアメリカのスナック菓子も、これでもかってくらいたくさん!フレンドリーでサービス精神旺盛なクルーに囲まれ、楽しい一日になりましたね。
最後に・・・
Jimさんは、機会あるごとにUSSエモンズに潜り、その姿を水中写真におさめています。
大海原に沈んでから、64年。流れがでるポイントでもあるし、沖縄は台風も来ます。私達はそこまで冒険しませんが、テクニカル・ダイバーでレックダイビングの経験やトライミックスの資格を持ったダイバーたちは、エモンズの船体内に入ることもあります。その際に出た泡でさえも、鉄でできた船体に影響を及ぼします。毎年、劣化して崩れる部分もあり、刻々と姿を変えていくエモンズの記録をとって行くこと、それから他にも沖縄戦で沈んだ船を見つけていくことをライフワークにしているそうです。ぜひ、Jimさんの写真のページもご覧下さい。